まく子 西加奈子をさっそくレビューしました

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西 加奈子 にし かなこ、1977年5月7日

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西 加奈子(にし かなこ、1977年5月7日)は、日本の小説家。

 

イラン ・テヘラン生まれ。

 

エジプト・大阪府和泉市光明台育ち。

 

『ぴあ』のライターを経て、出版社への持ち込み原稿であった『あおい』で2004年にデビューする。 2005年『さくら (小学館文庫)』が20万部を超えるベストセラーとなる。2012年5月、『きいろいゾウ (小学館文庫)』が、宮崎あおいと向井理出演で映画化きいろいゾウ [DVD]され、2013年に公開された。

まく子 西加奈子 レビュー

 

まく子 (福音館の単行本) 西加奈子

 

小さな温泉街に、あるときやってきた美しいけれど不思議な少女・コズエ。

 

彼女が、ちいさな温泉街に起こした奇跡はいつしか誰もがどこかに置き忘れてしまった何かを思い出させてくれるかけがえのないものでした。

 

 

主人公である慧少年は、大人と子供のはざまを生きる少年で。

 

どんどん変わっていく同級生に、焦り・恐怖・嫌悪さまざまな感情を抱き、その中で葛藤し悶えて苦しんでいる。

 

慧少年が抱えたこの苦しみは、もう大人になってしまった人々にはきっと経験があるものでしょう。

 

それぞれに形は異なるものであるだろうけれど、根底に流れたものはきっと変わらず同じ。

 

このとき、通る道はてっぺんはなんとなく見えてはいるけれども本当にそこにたどりつきたいのかはちょっと微妙な線の階段で。

 

それでも、昇るという選択肢しかなくて。そして、その道すがらで落としてはいけないものを知らず知らずのうちにぽろぽろと落としていってしまうのだ。

 

落としてしまったときには気付けない、あたりまえだけどどうしようもなくかけがえのないものたちを落としてしまっていくのだ。

 

まるで、落とすことが大人になることだとでもいうように、時にはそれを自らかなぐり捨ててしまうのだ。そして、かわりにちがうものを拾って身に着けて、全身に鎧をまとった重装備になっているのだ。

 

そうして、余計なもので固めた鎧で重くなってしまった身体では、もういままでのように無邪気に空を駆けたりすることはできなくなってしまう。

 

纏うのは、鎧だけじゃない。

 

小さな頭をすっぽり覆ってしまう兜は、いままでは当然のように見えていた物も、聞こえてきた物も見えなくなってしまって聞こえなくなってしまうのだ。

 

全部が全部、悪いわけではない。

 

大人になるということで、身に着けていく良いものもたくさん数え切れないほどにあるのだけれども、この険しい道すがらで落としたかけがえのないものを取り返すのは大人になる過程で身に着けるものよりも難しい気がする。

 

 

いつかは大人になること、いつかは死んでしまうことは決して避けることはできないものであると同時に、それは生きることでもある。どうして、いつかは終わりが来てしまうのに人は歩むことをやめないのか。

 

考えても仕方のないことではあるけれど、ふと気づくとそんなことに自分がいることは否めないのが事実で。

 

生きていると、大人になるための階段を上っていると考えずにはいられないけれども、なかなか答えが得られないというような疑問にぶち当たることはしばしばある気がする。

 

そんなとき、どうすればいいのかを教えてくれるのは、きっと昔落としたなにかのような気もする。

 

 

不思議な少女・コズエはいったい何者なのか。

 

きっと、この物語に対してこんな質問をするのは愚の骨頂なのだと思う。

 

やってはいけないことなのだと思う。慧たちは、本当にラッキーだとも思う。

 

誰もが落としたもの、ときとしてかなぐり捨ててしまうものは己の意思で行われていることであるのは間違いがないのかもしれないれけれど、きっとそれは選べない選択肢のなかでの選択でもあるのだから。

 

落としちゃったことを、捨ててきてしまったことをきっと悔やむことはある。

 

でも、その選択肢を呪うことはあってはならないこと。ステレオタイプなど存在しない世界の中では独特という言葉は存在しないけれども、西加奈子という作家は独特だと言いたくなる気がします。

 

生きるということ、大人になるということの苦しみや葛藤を描いたのはこれが初めてではないけれども他とは全然ことなる色を輝きを、まったく新しい表現でその問いの答を私たちに提示してくれるそんな物語であると思います。

 

不思議な少女・コズエがまいていったのは、それだけかな?読んだ後、感じるものは彼女が小さな体を思いっきりつかってまいていってくれたものはかけがえのないものであるように感じます。
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