ブラックホールは身の回りにたくさん存在している?
みなが良く知っているブラックホール。光さえも飲み込む暗黒の天体として長年研究されてきました。
ブラックホールは宇宙の遠い果てに存在する、実感がわかない天体という認識しかありませんが、実は近年の研究結果によると、私たちの身の回りにはブラックホールがたくさん存在しているらしいということが分かったそうです。いったいどういうことなのでしょうか。
ブラックホールの正体とは?
まずはこちらをご覧ください。
ブラックホールが星を吸い込む瞬間を、観測データからシミュレーションした結果です。
見えないブラックホールに近づいた星が、ブラックホールの重力によって縦に引き伸ばされます。
次の瞬間、一瞬にして砕かれ広がり、吸い込まれてしまいます。
ブラックホールというのは、その名の通り黒い穴。実は中に何が存在しているかはわかっていないそうです。
強力な重力によって、空間を捻じ曲げ、光さえも吸い込んでしまいます。よって、ブラックホールの中心には、巨大な質量を持つ何かが存在しているといえるのです。
ブラックホールの作り方
以上を踏まえると、ブラックホールを作るには、質量がとても大きく、かつ小さな物(密度が高い)があれば可能なのではないでしょうか?
例えば、地球を砂粒程度までぎゅーっと圧縮するとブラックホールができるといわれています。
実際には、地球サイズの物質をそこまで小さくする技術はありませんが、すでにわれわれの周りにはブラックホールがたくさん生まれているのです。
どういうことでしょうか。
現在、スイスのジュネーブでは、大型ハドロン衝突型加速器と呼ばれる巨大な装置が稼働しています。
この装置、陽子というとても小さなものを左右反対方向にかそくして、互いに正面衝突をさせるという実験です。
大型ハドロン衝突型加速器が陽子を光に近い速度まで加速させ、互いにぶつかるときに発生するパワーは強力で、
衝突の瞬間の圧力はブラックホールが生成される条件を満たしているそうです。
よって、陽子が互いにぶつかるときにブラックホールが偶然作られてしまうことがあるかもしれません。
ブラックホールがすべてを飲み込む?
偶然発生したブラックホールは、その強力な重力によって、酸素や窒素、そして大型ハドロン衝突型加速器の部品など一瞬にして飲み込むパワーを秘めています。
ブラックホールがあらゆる物質を飲み込むと、飲み込んだ物質そのものの重さでどんどん巨大になり、地球さえも一瞬で飲み込み、いづれ巨大なブラックホールに成長してしまうのでは無いかと心配してしまいますね。
しかし、実はブラックホールが地球上で生まれたとしても、周りの物質を飲み込み大きく成長することはないそうです。大型ハドロン衝突型加速器で粒子同士をぶつける時のパワーというのは、実は宇宙から地球に降り注いでいる粒子のパワーよりも小さいそうです。宇宙から降り注ぐ粒子は、地球上の物質や粒子同士が衝突し、絶えずブラックホールが生成されているといわれています。
しかし、ブラックホールは物質を吸い込むだけではなく、放出していることもわかっています。この放出の現象をホーキング放射とよび、現代で最も偉大な物理学者といわれるホーキングが発見した理論です。
ブラックホールはサイズが小さければ小さいほどホーキング放射の作用が顕著に強く表れ、極小のブラックホールは一瞬にして蒸発してしまいます。よって、地球上で絶えず作られたり、大型ハドロン衝突型加速器でブラックホールが作られたとしても、すぐに消えてなくなってしまうのです。
少なくとも、私たちが生きている間にブラックホールに吸い込まれてしまうことはなさそうですね。
カテゴリ一覧
【新着記事】