遠回りして時間短縮に成功
インドの航空会社エア・インディア。
インドとアメリカを結ぶ路線を運営している航空会社です。
ほぼ直線14,000kmの航路を、遠回りの15,000km新航路に変更し、2時間以上の飛行時間を短縮しています。
その理由は偏西風。今回は偏西風、別名ジェット気流について詳しく紹介します。
ジェット気流
ジェット気流とは偏西風の中でも特に風が強いものです。
その速度は時速300qにもなることもあります。風速300q/hをイメージするのは簡単で、新幹線のぞみが全速力状態のときに、窓から手を出した時の風速です。
高速道路で車の窓を開けると、驚くほどの暴風ですが、その3倍以上の速度でジェット気流は吹き荒れています。
なぜジェット気流が吹くのでしょうか。
それは、地球の南北の寒暖差の違いです。寒暖差によって南北に風が循環し、それがぶつかり合うところで風が東に流れます。それがジェット気流となります。
これは実際にカナダ上空でとらえられたジェット気流の様子です。
風は目に見えませんんが、気流に沿って雲が形成され目視出来ます。
ジェット気流を最も利用しているのが航空業界なのはご存知の通り。
ジェット気流を利用して、飛行時間短縮を実現しています。
実際にジェット気流を利用した有名航路は東京〜ホノルル間です。
1952年に初めてジェット気流を利用し、これまで18時間かかった東京からホノルルを11時間30分と、3分の2に短縮しています。
飛行機の性能が向上した現在でも新航路の研究が続けられています。
直近では、2016年10月、インドの航空会社はインドとアメリカを結ぶ新航路を発表しました。
従来は北極圏を通る最短経路1万4000kmを飛行していましたが、偏西風を利用する1万5000kmと1000qも長いコースを設定します。
日本の本州の長さが約1300qなので、ほぼ本州に近い距離を余分に飛ぶことになりますが、16時間44分だった飛行時間を14時間30以下、なんと2時間以上も短縮しています。
なぜこれほど時間を短縮できるのでしょうか。
ジェット気流の速度はかなり早いのです。
飛行機に乗ると、画面に気象状況などが表示されますが、航空会社によってはジェット気流の速度を表示している飛行機もあります。
実際に私が搭乗した飛行機では238q/hと表示されていました。
これは単純に現在の飛行速度プラス238q/hの速度で飛行できることになります。
時間短縮できるのは当然ですね。
ご存知の通り、飛行機の往復は行き帰りでかなり時間が異なります。
西へ向かうとき長く時間がかかり、東へ向かうときは短い時間で飛行できます。
飛行機の往復は、行きと帰りで航路も異なります。
例えば東京都ロサンゼルスの航路です。
行きはジェット気流に乗るルート、帰りは向い風となるジェット気流を外す航路で運航されています。
ジェット気流はメリットばかりに感じますが、デメリットもあります。
それは気流の乱れ、乱気流です。
ジェット気流によって、水平方向、垂直方向の急激な気流の流れが発生し、目視出来ないレーダーにも映らない乱気流が発生します。
たびたび乱気流による負傷者が出たと報じられますが、この多くはジェット気流が作り出した気流が影響しているのです。
ジェット気流によって新航路が開拓されていますが、今後も飛行ルート変更によって、海外に短時間で行けるルートが発見されるかもしれませんね。

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