賃貸VS購入
賃貸と持ち家、購入の比較は永遠のテーマといわれるほど議論が続いている。
人士最大の買い物となるマンション、一軒家の購入と、賃貸ではどちらがトクなのだろうか。
金持ちほど安く買えるマンション
結婚を機に新しい住居を考える人は多いだろう。
また、資産にならない賃貸よりも、資産になる購入を選択したい人が多いはずだ。
あるあるケースを見ていこう。
友人との会話
家が欲しくなるタイミングは、友人の影響が大きい。
友人がマンションを買うと必ず購入を勧められる。
毎月10万円の賃貸より、毎月10万円のローンでマンションを買った方が良い。資産になるのだから。と。
確かにこの理論はしっくり来る。
支出が同じなのに、マンションという資産が自分の手に残るのだ。
現在賃貸に住んでいる人の多くは、この考えでマンションを購入する人が多い。
結論から言おう。一般的な中流層(年収400万円〜1200万円)のサラリーマンが買えるマンションで資産になるマンションなどない。
なぜだろうか。
資産になるから買うという考え方は、買ったマンションを売ることが前提になる。
持っているだけならそれは単なる住居であり、住居を売ることでお金が手に入る。
1000万円の価値があるマンションに住むだけなら、別にお金が入ってくるわけではなく、単なる住居だ。
マンションを買うときに、住む期間を決めて購入する人はいないはずだ。
「3000万円でマンションを買いました。20年後に売ります」という人は皆無だろう。
要するに、マンションを買う人は、生涯住み続けることを前提に購入する。
いざというときには売却する、という人はいるだろうが、初めから売るつもりでマンションを買う人はいないだろう。
マンションを買おうが、賃貸に住もうが結局「住む」ことに変わりない。資産が生かされることはないのだ。
25歳でマンションを買ったとしよう。
最新のキッチン、浴室乾燥機、床暖房、輝く床。新居にときめくはずだ。
65歳になると築40年。
リフォームをしなければ、部屋の設備は時代遅れ。
今から40年前のマンションを何千万円もお金を出して買う人はいるだろうか。
内装を張り替えても、下水配管や浴室の設備、キッチンの構造、部屋の間取りなど、40年前の面影は消えることはない。
今は新築で最新設備でも、40年後には結局築40年の中古物件になる。
これがどれほどの資産を持っているだろうか。
65歳、築40年のマンション。85歳になるころには、築60年だ。
マンションは一生の買い物。退職後の老後生活は築60年のマンションに住むことになる。
一方、賃貸なら引っ越せばよい。
65歳で新築マンションに引っ越せば、40年後の最新設備のマンションで生活できる。
築40年マンションと新築マンション、快適なのは間違いなく新築だ。
上司から購入を勧められる
会社の上司から賃貸ではなく、購入を勧められることもあるだろう。
ざっくりとした数字で申し訳ないが、3000万円のマンションを買うと、3000万円の資産が手に入る。
と同時に3000万円の借金も手に入る。
一般人は3000万円もの大金を銀行は貸してくれないが、マンションを担保に3000万円の借金が可能になる。
要するに支払いができないならマンションを没収するという保証付きだ。
なので、支払いが完済するまで資産にはならない。
乱暴に言えば、マンションは銀行の所有物だ。
実質銀行が所有権を握っている物件に、ローンという家賃を払って住んでいるに過ぎない。
ローンの支払いは逃げられない。支払いから逃げれば住む場所を失う。
大切な資産を守るために、返済を頑張る。そのために一生懸命仕事をする必要がある。
マンションを資産とする考え方は、キャッシュで一括払いする人たち限定の特権だ。
一括でマンションを買い、売りたいときにはいつでも売る。
これが鉄則。
金持ちほど安くマンションを買う
マンションを資産とするなら、ローンを組むべきではない。
3000万円のマンションにローンを組めば、支払総額は4000万円以上になる。
キャッシュ一括で買う人よりも1000万円割高でマンションを買うことになる。
金持ちが3000万円でマンションを買い、1000万円で売却すれば、1000万円の価値だが、4000万円で買った人は資産価値はマイナスだ。
結局、資産など無いに等しい。
現実的には賃貸が有利
金利や修繕費、敷金など細かな金額を計算したページはいくつもあるのでそちらを参考にしてほしいが、ざっくり計算すると、どう考えても購入よりも賃貸が良い。
購入すれば資産になるはずが、人生最大の借金を背負うことになる。
ローンを完済するころには築40年のボロマンションだ。
一方、賃貸ならいつでも住み替えが可能。
古くなったら新しい設備のマンションに引っ越せばよい。
25歳で頑張ってマンションを買った人は、65歳の退職後は築40年の住まい。
賃貸の人なら65歳で新築マンションに引っ越せばよい。
筆者の計算では、引っ越しを一度もせず、同じ場所に住み続ける前提で賃貸と購入を比較すると、どちらもイーブンになる。
トータルの支出はほとんど同じだ。
1度でも引っ越せば、賃貸の方が圧倒的に有利になる。
よって、マンションを購入しても良い人は、
- 転勤がなく、生涯の住まいが確定している
- ローンを組まず、一括で購入できる
- 主要沿線の駅徒歩3分圏内のマンションが買える
くらいだろう。
日本の人口が減少する中で、中古物件が余るのは目に見えている。
中古物件の相場下落は確実で、資産として残るのは、究極に便利な立地の物件くらいだ。
上の3つに当てはまらないならば、賃貸の方が良い。
そもそも、マンションは地についていない、「空中に浮いた家」を買っているにすぎず、「資産」という考え方も怪しい。
単なる「地についていない箱」なのだ。
まだ、現実的なのは土地付きの一戸建て。
土地も含め資産になる。
ただし、これも同様に、中流層が買える土地など、将来的に値下がりする土地ばかりだ。
一等地の土地など、中流層に買うことはできない。
唯一賃貸が不利になる心配事とは
ここまで、圧倒的に賃貸が有利だという結論になるが、一つだけ忘れてはいけないリスクがある。
それはインフレだ。
インフレとは、物価が上昇し、お金の価値が下がること。
幸か不幸か、日本は景気低迷によって過去40年間、ほとんどインフレが起こっていない。
40年前の3000万円は今でも3000万円の価値がある。
しかし、今後のインフレには懸念が残る。
現在、世界経済は比較的安定しており、主要先進国のインフレは抑えられているが、それと比較しても日本のインフレ率は低い水準にある。
もし、毎年1%ずつインフレが進めば、40年後にはお金の価値が67%に低下する。
言い換えれば、家賃が1.5倍になるのだ。
日本とほぼ同じ規模のドイツやイギリスなど主要先進国のインフレ率は大体2%。
日本政府もインフレ率2%を目標に掲げており、計画通りに行けば、40年後の家賃は今の2.2倍になる。
もちろん、正常なインフレならば物価とともに給料もインフレするはずだが、それはどうなるかわからない。
日本の借金が増え続け、円の価値が下がり続ければ、物価だけが上昇し、お金の価値が低下する。
インフレの時に有利なのが現物資産であり、マンションを購入した人だ。
また、お金の価値が紙くずとなる、ハイパーインフレが発生すれば、借金が帳消しになり、固定金利でローンを組んだ人が勝ち組となる。
賃貸と購入を比較する場合、インフレも重要な要素となるのだ。
以上をまとめよう。
将来にわたって日本経済が安定しているなら、購入よりも賃貸が有利になる。
一方、極端なインフレや毎年、確実にインフレしていくならば、マンション購入が有利になる。
よって、賃貸と購入を比較し結論を出すならば、今後の日本のインフレ、日本経済を予想するという壮大なものになるだろう。

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