F35ライトニング II
F35ライトニング IIは、アメリカ軍が開発している第五世代の最新ステルス戦闘機です。
F35は、世界中で現在運用されているF16をすべて置き換えるために開発された戦闘機です。
その実力とはどれほどなのでしょうか。
世界で2番目に強い
世界最強の戦闘機は、ご存知の通りF22ラプターです。
F22ラプターは、これまで世界最強といわれてきたF15戦闘機をすべて置き換えるために開発された戦闘機です。
そして、その制空権確保能力は圧倒的なものとなっています。
F22ラプターが登場する前までは、旧世代戦闘機のF15が世界最強といわれており、F15が実戦で撃墜されたことはほとんどありません。
F15は日本の自衛隊や、アメリカと親交が深い国々の主力戦闘機として活躍し、空の安全を守っています。
F22は当時世界最強のF15を相手にした模擬戦を行い、その戦果は100%近くF22が勝利しました。
撃墜することがほぼ不可能なF15を、圧倒的に上回る戦闘力をF22は持っているのです。
F22は最強の戦闘機ですが、問題もあります。
F22は非常に高額な戦闘機で、1機あたり150億円以上します。
現在アメリカ軍で運用されている戦闘機は2500機以上とその数は膨大です。
すべての戦闘機をF22に置き換えると約38兆円という途方もない予算が必要になってしまいます。
F22の問題点は、価格が高すぎるということでしょうか。
実は、そうではありません。
中国軍の実力とは〜アメリカ、中国、日本の海軍力〜で紹介していますが、アメリカ軍の年間予算は70兆円以上になっており、日本の国家予算に匹敵します。
ちなみに日本の軍事予算(自衛隊予算)は6兆円です。
強大な経済力を持つアメリカならば、すべての戦闘機をF22でそろえることも不可能ではないのです。
では、F22の問題とは何でしょうか。
結論から述べると、F22は強すぎるのです。
先にも述べたように、F22が登場する前の世界最強の戦闘機はF15でした。
F15はイラク戦争やアフガニスタンの紛争、対テロ戦争など、様々な戦闘に投入されましたが、圧倒的な戦闘力のために、ほとんど国の制空権を僅か1日で確保できる能力を持っています。
制空権については、最強のアメリカ軍だけが装備できるA10サンダーボルトとAC130をご参考に。
そんなF15を圧倒的に上回るF22は強すぎて、紛争地域には過剰性能となっています。
対先進国ならまだしも、中東や紛争地域の制空権確保のための戦闘機ならば、F15でも十分です。
F15でさ、その圧倒的な戦闘力と数によって、すぐに制空権が確保できてしまいます。
これをわざわざ高額な予算を使いF22を投入する理由は多くないのです。
アメリカ軍がF22を保有する理由は、ロシアや中国に対する軍事的優位性のためです。
アメリカ軍がF22を保有していることで、ロシアや中国はその対策を講じなくてはいけません。
F22を探知できるレーダーシステムを設置したり、より運動性能の高い戦闘機を開発したり、F22の対抗措置のために莫大な予算を投入する必要があります。
F22は軍事大国ロシアと中国を封じ込めるために開発された、「戦略的」戦闘機といっても間違いではないでしょう。
F35は万能戦闘機
F22を大量保有するには過剰性能過ぎるために、アメリカ空軍はF35を開発しました。
F35もF22と同様にステルス戦闘機となっており、第5世代に分類される最新の戦闘機です。
運動性能はF22に劣りますが、電子機器類や戦闘システムはF22を超える最新機器を搭載しています。
F35はF22に次ぐ、世界で2番目に最強の戦闘機となっています。
その戦闘システムを詳しく見てみましょう。
F35に「死角」なし
タイトルの通り、F35には死角がありません。
F35が強すぎるために死角が無いという意味ではありません。
見切りの問題です。
この動画はF15のコックピット映像です。
戦闘機の視界は非常に広くなっていて、ほぼ空全体を見渡すことができます。
しかし、機体の裏側、下の方は当然死角になります。
F35はなくすことができないはずの死角をなくしてしまいました。
どういうことでしょうか。
F35のパイロットは、下のようなヘルメットをかぶります。
このヘルメットはヘッドマウントディスプレイシステム(HMDS)と呼ばれ、パイロットの視界に様々な情報を映し出します。
機体の下を向けば、機体をすり抜けて映像が映し出します。
よって、パイロットは自分が体一つで空に浮かんでいるようになり、死角が0になるというわけです。
映像がこちらです。
夜間には赤外線映像が映し出され、ターゲットが自動的にロックオン、確実に敵を撃破します。
前から後ろの敵を撃破
もう一つ、F35が最強といわれる理由は、自分の後方にいる敵を攻撃できる能力があるからです。
通常戦闘機は、敵の後ろを取り、前の敵を攻撃します。
よって、空中戦になれば、敵の後ろを取るために互いが争います。
しかし、F35に搭載されたセンサーとミサイルは後ろの敵でも攻撃することが可能です。
前に向けて発射したミサイルが、くるりと反転し、後方の敵を撃破します。
追いかけてきた戦闘機をそのまま撃破してしまうのです。
これは敵にとって恐ろしいことで、敵を追いかけているという有利な状況であっても、前から攻撃を受けるため、うかつに敵に近づくことは出来なくなります。
このように、F35には、これまでの戦闘機にはない、最強の兵器システムを搭載し、他の戦闘機を圧倒する能力を持っています。
ほかにも、F35は空軍と海軍が持つ各種ネットワークに接続されます。
自機が持つセンサーだけを利用するのではなく、イージス艦や電子戦闘機がもつ強力なレーダーの情報をリアルタイムで取り込むことで、自機のレーダーの能力を大きく超えた範囲まで攻撃可能となっています。
これはどんな時に役立つのでしょうか。
例えば、自機のレーダーが届かない遠い敵を攻撃する場合、レーダーが届く範囲まで移動する必要があります。
レーダーの範囲まで前進して攻撃するわけですが、こちらのレーダーが届く範囲は、相手のレーダーが届く範囲でもあります。
いくらレーダーの性能が良くても、戦闘機に搭載できるレーダーの探知距離に大きな違いはありません。
「アメリカ軍のレーダーは強力なので、敵のレーダー外から攻撃できるよ」というのは間違いです。
もうひとつ、戦術上、レーダーの特性からその性能を十分に発揮できないことが多くあります。
レーダーは曲がることなく、直進しかできません。
一方、地球は丸いため、戦闘機の高度が低いほどレーダーが届きにくくなります。
よって、いくら高性能なレーダ−を積んでも、低高度を飛行していればあまり意味がありません。
そこで、偵察機や電子戦闘機、イージス艦に装備されているレーダーを使い、地平線の向こうにいる敵も見つけ出します。
その情報をF35が収集し、ロックオン、地平線のかなた向こうにいる敵も撃破することが可能になるのです。
機関砲が強すぎる
F35には、従来の戦闘機と同様に機関砲が装備されています。
こんなやつです。
F35には特殊な機関砲が装備されていて、発射された弾丸が敵に近づくと破裂します。
大口径の25mm機関砲が装備されています。
敵に近づくと破裂し無数の破片を散らします。
地上にいる歩兵に向けて発射すれば、弾丸が破裂し、近くの歩兵もろとも玉砕してしまいます。
F22とF35の戦闘群
アメリカ軍は、F22とF35を組み合わせて制空権を確保します。
敵が中国であろうと、ロシアであろうと、アメリカ空軍にかかれば制空権はあっという間に取られてしまいます。
もちろん、これは戦術的な話であり、戦略上においては、政治取引や核の傘など複雑な考察が必要になります。
しかし、単純に戦闘機の制空権確保力に限って言えば、アメリカ空軍は圧倒的な能力を持っています。
世界最強はF22、世界2番目はF35。この強力な戦闘機でアメリカ空軍の圧倒的地位が確立されているのです。
