ロシアのアバンガルド極超音速ミサイル | マッハ27は脅威か

ロシアのアバンガルド極超音速ミサイル | マッハ27は脅威か

アバンガルド極超音速ミサイル

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※quotationWikipedia

ロシアが試験に成功した極超音速ミサイルアバンガルド。

 

アメリカの核ミサイル防衛網を無効にすると言われる最新ミサイルについて、どれほど脅威なのか詳しく紹介します。

アバンガルドミサイルとは

ロシアが発表したアバンガルド、発射は通常のロケットで打ち上げられる核ミサイルと同様の弾道ミサイルです。

 

弾道ミサイルのすべて | 驚異の破壊力と命中率の低さに紹介する通り、発射後5分間で燃料がすべて燃え尽き、あとは惰性で目標に向かうミサイルです。

 

ロシアが実験したアバンガルドも、UR-100N UTTKhという、旧式ロケットに搭載されて発射されました。

 

ロシアの発表によると、アバンガルドの速度はマッハ27に達し、水平垂直方向に向きを変えながらターゲットに着弾したとされています。

 

これは非常に脅威なことで、従来の防衛網を簡単に突破される危険があります。

 

詳しく見てみましょう。

 

まず、弾道核ミサイルを撃ち落とすミサイル防衛網を持った国は、世界でもアメリカだけです。

 

いやいや、日本もイージス艦やPAC3で撃ち落とせるじゃないかと思いがちですが、核ミサイル防衛の実態-日本は核を迎撃できるのか?で紹介する通り。

 

ミサイル防衛を説明するのは簡単で、ミサイルの発射を探知して、追跡、空中で迎撃すればよいのですが、実現出来たのはアメリカだけです。

 

まず、ミサイル発射の探知ですが、一般的なレーダでは探知不可能です。地球は丸く、地上近くのターゲットは数十キロ先すら探知できないためです。

 

よって、ミサイル発射を探知するには、専用の衛星を打ち上げる必要があります。

 

世界中のミサイル発射を探知するためにアメリカは静止軌道に4つ、楕円軌道に2つの衛星を打ち上げ、24時間体制で監視しています。

 

これでミサイルを探知できますが、発射後はミサイルの軌道を追跡する必要があります。

 

アメリカは20機以上の弾道ミサイル追跡用衛星を打ち上げており、弾道ミサイルの動きをリアルタイムで把握します。

 

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※quotationWikipedia

同時に、海上配備Xバンドレーダーを投入し、ミサイルの追跡を補足します。

 

アメリカは莫大な資金を投入して、機材を用意していますが、これだけではミサイル防衛は完成しません。

 

ミサイルは発射されてから着弾まで数分、長くても20分前後です。

 

発射の探知と追跡を手動でやっていては、間に合わないのです。

 

よって、アメリカは、衛星、地上レーダー、司令部、迎撃ミサイルを専用ネットワークでリンクさせ、すべての情報を瞬時に統合、迎撃までを自動化しています。

 

要するに、ミサイル防衛網とは、単なる迎撃ミサイルやイージス艦単体ではなく、巨大なシステムとして稼働するものです。

 

日本はイージス艦を持っていますが、発射の探知はできないめ、アメリカの情報が無ければ迎撃は不可能なのです。

 

現状、アメリカの同盟国は、イージス艦やイージスオフショア、THAAD、PAC3をアメリカから購入し、アメリカの防衛網のシステムの中で稼働させています。

 

よって、実質的にミサイル防衛網を持っているのはアメリカだけです。

 

 

現在稼働中のミサイル防衛網は、野球ボールのように弧を描いて落ちてくるミサイルを迎撃するように最適化されています。

 

ミサイルの軌道を制御できるのは、発射後5分だけであり、あとは物理法則にしたがうだけなので、迎撃も不可能ではありませんでした。

 

アバンガルドの速度はマッハ27。この速度は一般的なICBMと同様なので、脅威ではありません。

 

脅威になるのは、空中で軌道が変わることです。

 

アバンガルドに搭載された稼働フィンが軌道をわずかにずらします。

 

決して戦闘機のようにビュンビュン向きを変えるわけではなく、ほんの少し軌道をずらすだけですが、現在のミサイル防衛網では迎撃できないのです。

 

空中で向きを変えるという当たり前のようなミサイルを、なぜアメリカが対策してこなかったのでしょうか。

 

実は、弾道ミサイルを滑空中に制御する技術というのは非常に難しいのです。

 

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※quotationWikipedia

スペースシャトル、アポロ宇宙船。

 

どんな有人飛行においても、大気圏再突入時は地上との交信が途絶えることは、ご存知の人も多いでしょう。

 

マッハ20を超える速度では、空気の断熱圧縮によって、2000度を超える高温で内部の電子機器を破壊し、発生するプラズマが、電波を遮断します。

 

有人飛行の再突入は、入念な断熱対策を施しますが、ミサイルの弾頭は高温にさらされます。

 

このような状況の中で、ミサイルの軌道を制御するのは不可能に近いことです。

 

ロシアがアバンガルドの制御に成功したという発表から、この技術的課題をクリアしたと思われますが、当然方法は発表されることはないでしょう。

再び核兵器が増強される

核の傘、ミサイル抑止力。理解しているようで、イメージしづらいワードです。

 

要するに、打ったら打ち返す。核を使えば、使った国も亡ぶという、互いの脅し合いで核の使用を抑制することです。

 

核保有国同士は、核兵器をいつでも発射可能な状態にして、けん制し合いながら平和を保っているという、不安定中の安定な状態にあります。

 

しかし、ミサイル防衛がこの状況を破壊します。

 

アメリカに向けてミサイルを発射しても、アメリカはそのミサイルを撃ち落とし、報復でミサイルを発射した国を亡ぼすことができるようになったのです。

 

そう、ミサイル防衛技術は、核の傘の効力を減弱させるのです。

 

THAADの韓国配備、ヨーロッパ配備をロシアが反発するのはこのためです。

 

敵国のミサイル防衛は、相対的に自国の核抑止力を低下させます。

 

 

現在、アメリカは、ロシアや中国から飛来するICBMを迎撃できるミサイルはGMDのみで、44基しか配備していません。

 

実は、GMDが主な防衛対象としているのは、北朝鮮やイランなど、中小国です。

 

核抑止力は、経済力が同程度の国のみ通用します。

 

弱小国家と超大国が互いに核で脅しあったとしても、弱小国が滅びて良い覚悟で核を打ってきたらそれで終わりです。

 

アメリカと北朝鮮の核の打ち合いで、割に合わないのはアメリカです。

 

とはいいつつも、やはりロシアにとっては自国のICBMがアメリカに迎撃される状況にあるという現状は容認されない事実であり、ロシアの核抑止力を取り戻すためにアバンガルドを開発したのです。

 

中国のミサイル開発によって、アメリカがロシアとの核削減条約を破棄。

 

ロシアはそれに合わせ、ミサイル防衛網を突破するアバンガルドを公開。

 

中国は核を搭載する最新の戦略ミサイル潜水艦の増強。

 

核の傘という危ういながらも均衡がとれていた期間が終了し、再び核戦力が世界的に増強されてしまうのでしょうか。



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