空母保有の国
世界で空母を保有している国は10ヶ国だけです。
アメリカ、イタリア、インド、イギリス、ブラジル、中国、フランス、ロシア、スペイン、タイの10ヶ国です。
アメリカ以外の空母の戦闘力はどれほどなのでしょうか。アメリカに匹敵する空母はあるのでしょうか。
日本は当然空母は持っていない
日本は空母を保有していません。
空母は攻撃用ユニットであり、防衛用のユニットではないためです。
日本は空母を一つも持っていませんが、ヘリ空母を3隻保有しています。
ひゅうが型1隻、いずも型2隻の3つです。
ひゅうが型 ※quotationWikipedia
ひゅうが型のサイズは19,000トン、いずも型は27,000トンで、戦後保有する軍艦では最大サイズですが、空母と呼ぶには小さすぎます。
ちなみにアメリカが保有する最大の空母、ジェラルドフォード級は101,600トンとなっています。
ひゅうがといずもはどちらも護衛艦に分類され、ひゅうがはミサイルや各種防衛装備が装備されています。
いずも型は、防衛装備は一切ついておらず、設計上は空母に近い作りになっています。
2隻の空母を保有するイタリア。
イタリアはジュゼッペ・ガリバルディ、カヴールの2隻の通常動力型空母を持っています。
ジュゼッペ・ガリバルディ ※quotationWikipedia
カヴール ※quotationWikipedia
サイズはジュゼッペ・ガリバルディが13,850トン、カヴールが27,100トンとなっており、意外にも、海上自衛隊のひゅうがやいずもとサイズがほぼ同じです。
飛行機を運用できるよう、スキージャンプ方式となっており、ヘリコプターや戦車を積むなど揚陸艦の役割ももつ、マルチ空母となっています。
アメリカが保有する空母と比較するとあまりにも小さいため、空母の中でも軽空母の位置づけになっています。
続いてフランス軍。
フランスはアメリカ以外で唯一原子力空母を保有する国です。
その名はシャルル・ド・ゴール。
シャルル・ド・ゴール ※quotationWikipedia
サイズは40,600トンで結構巨大です。
空母の中には核兵器を搭載し、有事の際には航空機に核を搭載できる体制をとっており、世界で唯一核兵器を搭載している空母となっています。
アドミラル・クズネツォフはロシアが唯一保有する空母です。
スキージャンプ方式で船体は59,100トンと巨大です。
アドミラル・クズネツォフ ※quotationWikipedia
ロシアの空母の特徴は、空母自体が強力な戦闘力を持っており、重航空巡洋艦とも呼ばれています。
ただ、世界情勢の変化で、空母自体が戦闘する必要が薄れており、より空母の機能に重点を置いた改修を予定しています。
中国は空母ヴァリャーグ(遼寧)を一隻保有しています。
詳細は中国の空母と空母打撃群 | 世界第2位の軍事力に記載しています。
遼寧 ※quotationWikipedia
ヴァリャーグは、レジャー施設へ改造するという名目でウクライナから購入した空母で、設計は1985年と古くなっています。
サイズは67,500トンと巨大です。
中国海軍の近代化スピードはすさまじく、すでに空母打撃群1つを完成させようとしています。
ヴァリャーグを中心に、最新の中国イージス052D型駆逐艦を護衛につけ、他にイージス2隻、コルベット一隻、補給艦1隻からなる艦隊を組みました。
2016年後半には中国の空母打撃群が中国近海を出発、日本を抜けて第一列島線を超えました。
これまで、アメリカ軍は中国が第一列島線を超えないよう、圧力をかけていましたが、ついにその防衛ラインを突破したことになります。
第一第二列島線 ※quotationWikipedia
アメリカはグアムに達する第二列島線を死守するはずです。
このラインを越えられると、ハワイやアメリカ本土防衛など、アメリカ軍の戦略の見直す必要が出てきます。
第二列島線海域には、アメリカ軍の中でも最大規模である第7艦隊の縄張りです。
中国軍が第7艦隊と対等になるにはまだですが、近い将来日本周辺の軍事バランスが一変する可能性があります。
既に中国軍は第一列島線を超えて軍事活動できる能力を空母打撃群によって手に入れ始めており、有事の際にアメリカが第一列島線を超えるには相当のリスクがあります。
アメリカはこの状況を許すはずはなく、すでに空母打撃群2個を追加する予定となっており、アジアへの軍事力シフトを進めています。
現在中国が保有する空母は旧型の空母1隻だけですが、すでに国産空母2隻の建造が始まっています。
2隻の空母はアメリカ軍に匹敵する空母になると予想されており、3つの空母打撃群がそろうことで、常に中国周辺海域をパトロール可能になります。
中国と同様、経済の発展が著しいインドも空母を保有しています。
ヴィクラマーディティヤという空母で、ソビエトが建造、ロシアから購入しています。
ヴィクラマーディティヤ ※quotationWikipedia
スキージャンプ方式でサイズは45,500トンと中サイズです。
インド海軍は既にインド洋において支配的な力を発揮しており、中国と同様、近い将来3隻の空母打撃群を保有することが決まっています。
潜水艦も20隻以上そろえる予定で、世界屈指の軍事力をもつ国になろうとしています。
ブラジルはサンパウロという空母を保有しています。
空母サンパウロはフランスで運用されていたフォッシュを退役後に中古購入した船で、2001年にブラジルに引き渡されました。
サンパウロ ※quotationWikipedia
ただ、ブラジルにとって空母の必要性が薄れ、予定していた近代改修をすべて中止、運用が中止されました。
プリンシペ・デ・アストゥリアスはスペインが保有する空母です。
サイズは16,700トンと非常に小規模です。
艦載機は10機程度と少ないですが、コンセプトは近代的であり、世界的にも評価されている空母です。
プリンシペ・デ・アストゥリアス ※quotationWikipedia
最後にタイ。
チャクリ・ナルエベトという空母を保有しています。
11,486トンとなっており、日本のひゅうが型護衛艦よりも小さな空母です。
艦載機はハリアー10機ほどです。
チャクリ・ナルエベト ※quotationWikipedia
ここまで読んで気づくことは、アメリカ海軍と他の国の圧倒的戦力差です。
アメリカ軍は排水量100,000トンを超える超巨大空母を中核とし、ミサイル巡洋艦、ミサイル駆逐艦、原子力潜水艦、補給艦からなる空母打撃群という船団を作り運用しています。
一つの空母打撃群には、制空戦闘機を40機弱を中心に、70〜80機の艦載機を積んでいます。
艦載機には、空母周辺の空をくまなく捜索する哨戒機、遠方からの攻撃を防ぐ電子戦機、空母周辺の制空権を確保する最強の制空戦闘機をバランスよく載せています。
そんなアメリカ軍は、Rimpacと呼ばれる、世界最大の軍事演習を毎年実施しています。
数十ヶ国の軍隊が集まる演習で、特に海軍の演習は壮大です。
下の写真は、アメリカの空母を中心に、世界中の最強の艦船が集結しています。
海の安全と絶対的支配のための軍事演習という訳です。
アメリカの空母艦載機は近いうちに、制空戦闘機はすべてF35に置き換わります。
F35は、最新のステルス戦闘機で、戦闘力は同じくアメリカが保有するF22 に次ぐ能力を持っています。
F22が登場する前は、世界最強の戦闘機はF15でした。
F15は、現在までに様々な空戦に参加していますが、撃墜されたことは一度もありません。
そんなF15を仮想敵とした演習で、F22は完勝しています。
アメリカは配備F22をすでに配備し、それに準ずるF35を3000機以上生産する予定になっています。
F35の能力は相当なもので、先進国をもってしても、1つの空母打撃群に対抗するには相当な軍事力が必要です。
そして、アメリカは空母打撃群11個、遠征打撃群10個を持ち、世界中の海と空を支配しています。
現在、中国は、世界中を支配しているアメリカの領域の中でも、第一列島線だけは中国が支配しようしています。
その結果が空母打撃群3隻を編成することです。
アメリカの目標は、現在支配している世界中の海と空の現状維持です。
中国は、その領域に穴をあけようとアメリカに挑戦し、それが現実になろうとしています。
