弾道ミサイルのすべて | 驚異の破壊力と命中率の低さ

弾道ミサイルのすべて | 驚異の破壊力と命中率の低さ

弾道ミサイルとは

弾道ミサイル
弾道ミサイルとは、その名の通り弾道を描いて飛ぶミサイルの事です。

 

巡航ミサイルは翼を備え、ジェットエンジンで水平に飛行しますが、弾道ミサイルは打ちっぱなしのミサイルです。

 

野球ボールを投げることと原理は同じであり、手を離れた瞬間に着地地点が決まります。

 

弾道ミサイルの詳細をお伝えします。

弾道ミサイルの種類

弾道ミサイルはエンジンが点火している極めて短い時間の間だけ誘導され、その後は重力と空気抵抗に身を任せて目標に向かいます。

 

距離に応じて単距離弾道ミサイル、大陸間弾道ミサイル(ICBM)など様々な種類がありますが、原理は同じです。

 

弾道ミサイルは、ベーシックな地上発射型、海中から発射される潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、空中から発射される空中弾道ミサイル(ALBM)に分かれます。

 

発射場所はそれぞれ異なりますが、発射原理は同じで、ロケットエンジンが点火している間に誘導を行い、あとは重力と空気抵抗に任せて飛行します。

核兵器の運搬手段

弾道ミサイル
弾道ミサイルの目的は核兵器の運搬手段です。

 

当然ですが、核兵器を作っても、それを敵国まで運ぶ手段がなければ使うことができません。

 

弾道ミサイル技術が完成する以前、核兵器の運搬は爆撃機が主流で、敵国上空に爆撃機を飛ばしていました。

 

しかし、レーダー網の発達と、航空機の迎撃技術の発達により、爆撃機が敵国に侵入するのが難しくなります。

 

そこで、弾道ミサイルが開発されました。

 

弾道ミサイルというと聞きなれた単語であり、古くからある技術ですが、その開発には相当の技術力が必要です。

 

弾道ミサイルはロケットと同じ技術です。

 

弾頭をロケットエンジンで上空に運ぶ技術は、衛星を宇宙空間に運ぶ技術とそれほど違いはありません。

 

ロケット最大の特徴、それは打ち上げ費用が莫大であることでも有名です。

 

例えば、日本が開発した最新ロケットH-IIは一発100憶円です。

 

弾道ミサイルは商用ロケット程、高い高度に打ち上げませんが、1発30憶円という莫大なコストが必要です。

 

よって、弾道ミサイルを核抑止力のシステムとして運用するには、一部の国に限られます。

弾道ミサイルの命中率

弾道ミサイルの命中率は、現代の精密兵器に比べると極めて悪いことが特徴です。

 

アメリカ主力の弾道ミサイル、ピースキーパーは、世界最高の命中率ですが、平均誤差半径(CEP)が90m。

 

精密誘導兵器のCEP数十センチであるのに比べると、極めて命中率が悪いことがわかります。

 

理由は明確です。

 

何度も紹介する通り、ロケットエンジンが点火している僅かな時間、しかも上昇中の間だけ誘導を行い、あとは重量に任せて落下していくためです。

 

距離が数千キロにもなると、僅かな誘導の誤差が、着弾することろには大きな誤差となります。

 

逆に言えば、CEP90mという誤差は、弾道ミサイルの中では驚異的な命中率であり、通常は数百メートル、また数キロメートルの誤差が出るのは当たり前なのです。

弾道ミサイルを通常兵器に利用するのは難しい

 

以上を踏まえると、弾道ミサイルを通常兵器として利用するには難しいことがわかります。

 

まず、1発数十億円という高価な点、そして命中率の悪さから、1発で半径数キロを廃墟にする核兵器に最適な技術というわけです。

 

一方、アメリカと中国は弾道ミサイルを通常兵器に利用する動きを見せています。

 

まずアメリカ。

 

たった1時間で地球の裏側までいつでも攻撃できるミサイルを開発中に紹介する通り、弾道ミサイルで巨大な弾頭を打ち上げ、自然落下による位置エネルギーで敵司令部をピンポイントで破壊する技術です。

 

通常兵器が豊富なアメリカが、なぜわざわざ高価な弾道ミサイルに通常兵器を搭載するのか。

 

敵司令部もバンカーバスターなどで破壊可能なはずです。

 

アメリカが開発を進める理由、それは即時攻撃能力です。

 

バンカーバスターなど通常兵器は、命令から着弾まで時間がかかります。

 

空母打撃群や爆撃機を敵国上空まで派遣し、そこから爆弾を投下します。

 

もし敵に動きを察知されれば、司令部から避難されたり、迎撃するチャンスを与えてしまいます。

 

一方、PGSなら、命令と同時に発射、数十分で敵国に着弾します。

 

これは、国の指導者にとって非常に脅威です。

 

現状、発射されたPGSを迎撃する手段はないため、どんな大国の防空網が整ったエリアでも、攻撃可能です。

 

要するに、アメリカを敵に回した指導者は、常にアメリカから銃口を向けられている状況にあるという驚異の兵器なのです。

 

対する中国も、弾道ミサイルを通常兵器として利用する動きがみられます。

 

それが空母キラーDF21です。

 

射程距離2000qの弾道ミサイルに、通常弾頭を搭載し、終末期に誘導し空母を撃沈する兵器です。

 

アメリカが持つ空母打撃群は1国の軍事力に匹敵する戦闘力があり、その防衛力も相当です。

 

空母周囲は、偵察衛星によって監視、哨戒機を飛ばし、イージスシステムと情報を統合、ミサイルと戦闘機で近づく敵機やミサイルを迎撃します。

 

一方、弾道ミサイルになると、速度が速すぎるため、迎撃できない可能性が高くなります。

 

よって、DF21対艦弾道ミサイルが完成すると、アメリカの空母は中国に近づくことができなくなります。

 

 

しかし、DF21にも問題点があります。

 

それは命中精度。

 

先ほど紹介した通り、世界最高の弾道ミサイルの命中率が90m。

 

これは、動かない地上の目標を狙った時の数値です。

 

空母は時速60qという高速で動いており、その動きも予測不可能です。

 

ミサイルが発射されてから空母に着弾するまでの時間は数分。

 

上昇中のみ誘導が可能な弾道ミサイルが、数分後の空母の動きを予測することは不可能です。

 

そこで、中国は、弾頭そのものを誘導しようとしています。

 

ある程度、空母に接近したら、空母に向けて弾頭が向きを変えて進む技術です。

 

精密誘導兵器が主流の現代、この技術は簡単そうですが、非常にハードルが高い技術です。

 

まず、そもそも、広い海で空母を見つけるのは困難です。

 

最強の空母打撃群を撃沈する方法はあるのかで紹介する通り、アメリカが北朝鮮に空母を派遣するという報道後、世界中の専門家が空母の位置を予測しましたが、結局空母の動きをつかめず、空母の位置が分かったころには、すでに空母は北朝鮮周辺で作戦を開始していました。

 

アメリカが空母の移動を宣言、大体の位置がわかっている状況でも、空母の位置が特定できませんでした。

 

レーダーを使えば空母の位置を特定できそうですが、それも非常に困難です。

 

哨戒機を飛ばしても、レーダーは水平線より遠くを見ることができず、哨戒機の視野は広大な海の中では視野が極小。

 

まして、海岸から1000q以上離れた場所まで哨戒機を飛ばすことはできません。

 

 

以上を踏まえると、中国が空母を対艦弾道ミサイルで撃沈するためには、広大な海で空母を発見する技術、発見した空母をリアルタイムで位置を追跡する技術、弾道ミサイルを週末段階で精密に誘導する技術が必要です。

 

中国はD21の開発を着々と進めていることから、遠方の敵を発見するレーダーや超高速で移動し、高熱にさらされる弾頭を誘導する技術を確実に進歩させていると思われます。

核ミサイル発射と誤解されるリスク

弾道ミサイルを通常兵器として利用する最大のリスクは、核ミサイルとの誤認です。

 

現在、核ミサイルの発射を探知できるのは、アメリカ、中国、ロシア、インドの4ヶ国だけ。

 

その中でも、ミサイル迎撃をシステムとして運用できているのはアメリカだけです。※参考ミサイル防衛を持つのはアメリカだけ | 日本はミサイルを防げない?

 

4ヶ国は、弾道ミサイルが発射された瞬間を即座に探知する技術を持っています。

 

ミサイル発射を探知することで、自国に核ミサイルが着弾する前に、核ミサイルを発射し、報復を実施できます。これによって、核抑止力が働きます。

 

実際に、北朝鮮のミサイル発射は、アメリカのミサイル防衛網が発射をリアルタイムで検知し、韓国や日本に情報を提供しています。

 

一方、問題点は、ミサイルに搭載された弾頭が、核弾頭なのか、通常兵器なのか判別は不可能だという点です。

 

通常弾頭の弾道ミサイルを発射しただけなのに、核ミサイルと誤認され、報復によって国が亡びるということが現実に起きかねません。

 

そこで、各国はロケット打ち上げや、弾道ミサイル発射試験には必ず実施の詳細を報告する必要があります。

 

アメリカや中国が、通常弾頭の弾道ミサイルの開発を成功したとして、誤認を避けるために発射をロシアに通告すれば、情報が洩れ、即時攻撃能力を発揮できないというジレンマも抱えています。

 

誤認リスクを排除するために、核ミサイルと明らかに異なる機動を描くよう、工夫していると思われますが、今後、通常弾頭の弾頭ミサイルが普及すれば、世界中のあらゆる場所がいつでも攻撃されかねない危険な状況になるのではないでしょうか。



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