風圧で一帯を破壊する燃料気化爆弾サーモバリック爆弾とは

follow us in feedly このエントリーをはてなブックマークに追加

燃料気化爆弾・サーモバリック爆弾

サーモバリック爆弾,燃料気化爆弾
燃料気化爆弾、別名サーモバリック爆弾とは、燃料を気化させのち点火し、莫大な風圧を発生させる破壊兵器です。

 

通常爆弾とは全く異なる仕組みで炸裂する驚異の破壊力について詳しく紹介します。

燃料気化の原理

サーモバリック爆弾のサーモバリックとは、ギリシャ語の熱を意味するthermosと、圧力を意味するbaroからなる造語です。

 

正式名称は燃料気化爆弾ですが、最近ではこの造語を使ったサーモバリック爆弾という言い方が多くなっています。

 

どちらも全く同じ爆弾です。

 

第二次世界大戦中にドイツが開発をスタートしましたが、ドイツの敗戦によって研究がストップ。実用化されたのは1980年代と比較的新しいタイプの兵器です。

 

通常の爆弾は、火薬などの固形燃料を搭載し、燃料に直接火をつけて爆発させます。

 

爆薬の周りには、金属片が多数搭載されており、爆発の力によって金属片をまき散らすことで敵を攻撃していました。

 

一方のサーモバリック爆弾は、金属片ではなく、爆発の風圧、要するに爆風そのものによって敵にダメージを与える兵器です。

 

爆薬は液体や固体燃料ですが、直接点火せず、一度気化させた後点火することで強烈な爆風を生み出します。

 

爆発による風圧は、爆薬の体積によって決まります。

 

液体や固体を気化させると、その1000倍以上の体積に膨張することから、燃料気化爆弾は通常の爆弾の数千倍の巨大爆弾が爆発することと同じ風圧を生み出すのです。

 

では、どうやって固体や液体を一瞬で気化させるのでしょうか。

 

それはブレイブ(BLEVE)という現象を利用します。

 

BLEVE現象は日常でもよく見られる現象です。

 

例えば、煙が出るほど熱くなったフライパンに水滴を垂らすと、爆発するかのように水が蒸発します。

 

通常の沸騰と異なり、莫大な熱量を瞬時に加えることで、爆発的な沸騰が起こり、一気に気化し広がります。

 

サーモバリック爆弾,燃料気化爆弾

※quotationWikipedia

 

同様に、サーモバリック爆弾もBLEVE現象で燃料を一気に気化、拡散させます。

 

爆弾が投下され、起爆高度になると、一次爆薬が点火し、液体や固体を加熱します。

 

液体が沸騰する温度よりもかなり高熱に加熱し、さらに沸騰しないように圧力を掛けます。

 

そして、圧力が限界に達した瞬間に圧力壁が破壊、溜まった圧力が解放されることで爆発的に液体が沸騰し拡散します。

 

拡散した燃料と空気が適度に混合された瞬間に2次爆薬を点火することで、サーモバリック爆弾が炸裂します。

 

サーモバリック爆弾の破壊力

サーモバリック爆弾の総エネルギーは通常の爆弾と変わりません。

 

しかし、サーモバリック爆弾が爆発し、巨大な空間が瞬時に燃焼すると、猛烈な風圧を発生させます。

 

 

 

この風圧は非常に強力で、対人間に用いられると致命傷を負うことになります。

 

サーモバリック爆弾が近くで爆発すれば、当然粉々になります。

 

また、ある程度距離が離れていたり、壁に隠れていたとしても強烈な風圧が襲います。

 

人の弱点である肺や眼球は風圧に弱く、真っ先に破壊されてしまいます。

 

よって、サーモバリック爆弾に攻撃された兵士は、見た目は全く異常がないにも関わらず、致命傷を負っているのです。

 

 

サーモバリック爆弾の怖さは、遮蔽壁で防げない点にあります。

 

通常、戦時には敵の攻撃を防ぐために、背の高い防護壁を設置したり、塹壕を掘って弾丸や爆発を防ぎます。

 

しかし、サーモバリック爆弾は風圧そのもので攻撃するため、壁を設置しても防ぐことはできません。

 

サーモバリック爆弾から身を守るには、完全に密閉された容器の中に閉じこもるしかありません。

 

よって、戦時、基地のサーモバリック爆弾の攻撃も想定して防衛設備を構築しなければならず、非常に厄介な存在なのです。

 

 

防ぐことが難しいサーモバリック爆弾を、能動的に無力化する兵器をアメリカが開発しています。

サーモバリック爆弾防御兵器

日本語で高速爆発抑制剤散布装置という長い名前の装置です。

 

名前は難しいですが原理は簡単です。

 

サーモバリック爆弾は、簡単に言えば、燃料の急速な燃焼です。

 

よって燃焼を止めてしまえば爆発を防ぐことができます。

 

サーモバリック爆弾に使われる爆薬は、BLEVE現象を起こすことが必須なので、爆薬の種類は限られています。

 

よって、この爆薬を中和する物質を爆発前に散布してしまえばよいのです。

 

アメリカでは、戦車砲やミサイルを能動的に防衛するアクティブディエンター装置の開発を進めています。

 

敵の弾丸の軌道を追跡し、撃ち落とす技術です。

 

このシステムに、先ほどのサーモバリック中和物質を搭載すれば、サーモバリック爆弾を無力化できるというわけです。

まとめ

現在、サーモバリック爆弾はテロリストの手に渡るなど、世界中に拡散し始めています。

 

すでに原理解明から30年以上がたち、技術力が低い国でも製造が可能な兵器だからです。

 

サーモバリック爆弾から防衛するための技術開発が急ピッチで進められており、戦場投入の時期も近いでしょう。



【関連記事】


最強のオスプレイのすべて | V-22高速ヘリが注目される理由


●軍事関連記事のすべて一覧


風圧で一帯を破壊する燃料気化爆弾サーモバリック爆弾とは


地中貫通爆弾バンカーバスターの破壊力とは


イージス艦とは | ハエ一匹入れない最強の盾の強さ


ミサイル防衛を持つのはアメリカだけ | 日本はミサイルを防げない?


なぜアメリカは北朝鮮と戦争しないのか | 北朝鮮の軍事力


航続距離無限 | 原子力空母の驚異の実力と世界最強


UH-60ブラックホーク世界最強で謎のステルスヘリコプター


世界最強のF22ラプターステルス戦闘機のすべて


1隻で国を亡ぼすコロンビア級オハイオ級潜水艦


B-1B爆撃機のすべて | 高速性と搭載量が最強


アメリカ開発の命中率100%のスナイパーライフルとは


SR72はマッハ6以上の最新無人偵察機(SR71ブラックバード後継機)


実用段階に入る最強のレーザー兵器のすべて


写真で見る最強の海軍とその軍事力は?アメリカ・中国・日本を比較


第六世代戦闘機|アメリカ、日本、ロシアの構想


世界最強のイージス艦タイコンデロガの強さに迫る


核ミサイル防衛の実態-日本は核を迎撃できるのか?


世界最強の潜水艦シーウルフはどれほど強いか


アメリカ空母と強襲揚陸艦に搭載される艦載機のすべて


世界の空母と空母打撃群を徹底比較・アメリカの次に最強は?


空母打撃群と遠征打撃群の違いと海兵隊最強の地位


空母維持費とジェラルド・R・フォード級空母のすべて


世界最強の米海軍の中でも中核を担う空母打撃群の戦闘力は?


最強のミサイル・トマホークのすべて


たった1時間で地球の裏側までいつでも攻撃できるミサイルを開発中


ホバークラフトLCAC-1は最強の揚陸艦


アメリカVS中国の戦闘シミュレーションでよくある間違いとは


航空自衛隊と中国空軍の徹底比較〜アメリカについていけるのか〜


世界で2番目に強いステルス戦闘機F35の最強バトル


中国軍の実力とは〜アメリカ、中国、日本の海軍力〜


通常動力で最強の潜水艦そうりゅうの実力と嘘と本当


米軍最新の空中給油機KC-46Aペガサスの凄さに迫る


世界最強の戦車M1エイブラムスが強い理由とその伝説を紹介


最強のアメリカ軍だけが装備できるA10サンダーボルトとAC130


米軍最新ステルス爆撃機B21レイダーの強さと技術に迫る


核実験をどうやって見抜くのか?核実験の方法と種類


最強の核兵器ツァーリボンバの脅威の威力とは


アメリカ軍最新のLCSフリーダム・インディペンデンスは速すぎる!


通常兵器で最強の爆弾といわれるMOABの威力とは


ついに始動!ズムウォルト!アメリカ海軍最新、最強の駆逐艦


ロシア戦闘機を撃墜したトルコ軍の実力とは


ロシアが最新の長距離高速の核魚雷を開発?誤ってテレビで放送


究極においしいコーヒーの入れ方〜永久保存版〜


最新仮想通貨情報

follow us in feedly このエントリーをはてなブックマークに追加